病気ガイド
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)とは?健診所見と息切れで確認したいこと
慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)は、肺の血管に血栓が残る、または血流が妨げられることで肺高血圧につながることがある病気です。通常の健康診断だけで診断するものではありませんが、肺塞栓症の後に息切れが続く場合や、胸部X線の肺高血圧疑い、心電図の右心負荷疑いなどを指摘された場合は、専門的な確認につなげたいテーマです。
このページの要点
- CTEPHは、肺塞栓症の後の息切れや肺高血圧疑いを確認するときに候補になることがありますが、健診所見だけで診断できません。
- 心エコー、CT、換気血流シンチグラフィ、右心カテーテル検査など、医療機関で複数の情報を組み合わせて確認されます。
- 急な息切れ、胸痛、失神、血痰、片脚の腫れや痛みがある場合は、CTEPHの確認よりも急性の肺塞栓症などを含めた早めの受診を優先します。
病気の概要
CTEPHは、肺の血管に血栓性の変化が残り、肺血管の圧が高くなることで、心臓の右側に負担がかかることがある病気です。肺塞栓症の既往がある人で確認対象になることがありますが、過去に明らかな肺塞栓症と診断されていない人でも検討される場合があります。
健康診断では、胸部X線で肺動脈拡大疑い、肺高血圧疑い、肺血管影の左右差、心電図で右心負荷疑いなどが確認の入口になることがあります。ただし、これらの所見はCTEPH専用の検査ではなく、心不全、肺疾患、睡眠時無呼吸、撮影条件なども含めて確認します。
確認しておきたいこと: 健康診断の結果表は診断ではありません。基準値や判定、追加検査の案内は、医療機関、検査機関、測定方法、年齢、性別、既往歴などにより異なります。
主な症状
- 階段や坂道、早歩きでの息切れ、動悸、疲れやすさが続くことがあります。
- むくみ、胸部不快感、めまい、失神、運動時の苦しさなどが相談のきっかけになることがあります。
- 症状がゆっくり進むこともあり、体力低下や加齢だけと自己判断しにくい場合があります。
- 急な息切れ、胸痛、血痰、失神、片脚の腫れや痛みがある場合は、急性の肺塞栓症などを含めて早めの医療機関相談を検討します。
健康診断で関連しやすい検査項目
通常の定期健康診断はCTEPHを診断する目的の検査ではありません。一方で、肺高血圧や右心負荷を示唆する所見、肺塞栓症後の症状、血液検査の変化を組み合わせて、医療機関で確認するきっかけになることがあります。
原因・リスク要因として考えられること
- 肺塞栓症や深部静脈血栓症の既往、血栓ができやすい背景、手術後、長期臥床、がん、炎症性疾患などが確認対象になることがあります。
- 息切れの背景には、CTEPH以外にも心不全、弁膜症、COPD、間質性肺疾患、睡眠時無呼吸、貧血、甲状腺疾患など複数の可能性があります。
- 過去の肺塞栓症、入院歴、手術歴、服薬、血栓症の家族歴、妊娠・産後、長時間移動などの情報を整理しておくと相談しやすくなります。
検査・診断の流れ
医療機関では、症状の経過、肺塞栓症や深部静脈血栓症の既往、血圧、脈拍、酸素飽和度、心音、むくみ、服薬、仕事や移動の状況などを確認します。
必要に応じて、心電図、胸部X線、BNP・NT-proBNP、Dダイマー、心エコー、胸部CT、CT血管造影、換気血流シンチグラフィ、呼吸機能検査、右心カテーテル検査などが検討されることがあります。どの検査が必要かは、症状、既往歴、重症度、医療機関の判断により異なります。
肺高血圧が疑われる場合やCTEPHの確認が必要な場合は、循環器内科、呼吸器内科、肺高血圧や血栓塞栓症を扱う専門医療機関での評価が検討されることがあります。
治療・管理の一般的な考え方
CTEPHが疑われる、または診断された場合の治療や管理は、専門医療機関で病状、肺血管の状態、心臓への負担、持病、服薬状況を踏まえて判断されます。
抗凝固療法、肺動脈内膜摘除術、バルーン肺動脈形成術、肺高血圧に対する薬物療法、酸素療法、リハビリテーションなどが検討されることがありますが、適応や順序は人により異なります。自己判断で薬を開始・中止することは避け、主治医の説明を確認してください。
生活習慣で見直したいこと
- 息切れや動悸がある場合は、無理な運動で様子を見るのではなく、まず医療機関で安全な活動量を確認します。
- 服薬、通院予定、体重変化、むくみ、息切れの出る場面を記録しておくと、診察時に経過を伝えやすくなります。
- 喫煙、睡眠、体重、長時間同じ姿勢が続く状況など、心肺への負担や血栓リスクに関係しそうな生活背景を主治医と確認します。
再検査や通院にかかるお金も確認する
肺高血圧やCTEPHの確認では、心エコー、CT、換気血流シンチグラフィ、右心カテーテル検査、継続通院などが関係することがあります。急な症状がある場合は受診を優先し、落ち着いてから健康保険、高額療養費、傷病手当金、指定難病の医療費助成などの制度を確認します。
指定難病の医療費助成については、診断名、重症度分類、難病指定医、指定医療機関、申請書類を主治医や自治体で確認します。申請前の確認項目は指定難病の医療費助成を申請するときの確認リストに整理しています。
マネーライフハックで医療費・保険制度を見る受診を検討したいケース
- 肺塞栓症や深部静脈血栓症の後に、息切れ、動悸、むくみ、運動時の苦しさが続く
- 胸部X線で肺高血圧疑い、肺動脈拡大疑い、肺血管影の左右差を指摘された
- 心電図で右心負荷疑い、右室肥大疑い、右軸偏位などを指摘され、息切れやむくみがある
- 心エコーやBNP・NT-proBNPで心臓の右側への負担が疑われると説明された
- 急な息切れ、胸痛、血痰、失神、片脚の腫れや痛みがある
急な症状が強い場合は救急外来が候補になります。症状が続く場合や肺高血圧疑いがある場合は、内科、循環器内科、呼吸器内科、健診機関の再検査外来などで相談します。
よくある質問
CTEPHが気になるとき何を確認しますか?
通常の健康診断だけでCTEPHを診断するものではありません。胸部X線、心電図、BNPなどが肺高血圧や右心負荷を確認するきっかけになることはありますが、診断には医療機関で複数の検査を組み合わせます。
肺塞栓症の後に息切れが続く場合はCTEPHですか?
CTEPHを含めて確認されることはありますが、息切れの原因は一つではありません。心不全、肺疾患、貧血、体力低下、薬の影響なども含めて、主治医や専門医療機関で相談してください。
胸部X線で肺高血圧疑いと書かれたらどうすればよいですか?
結果表の判定区分、過去画像、症状、心電図やBNPの結果を確認し、健診機関や医療機関の案内に従って相談します。胸部X線所見だけで肺高血圧症やCTEPHと決まるわけではありません。
どの診療科に相談しますか?
循環器内科、呼吸器内科、内科、健診機関の再検査外来などが候補です。肺高血圧やCTEPHが疑われる場合は、専門医療機関での確認が検討されることがあります。
参考・出典
- 難病情報センター「肺動脈性肺高血圧症(指定難病86)」(参照日: 2026-07-02)
- 日本循環器学会ほか「2025年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン」(参照日: 2026-07-02)
- CDC「About Venous Thromboembolism」(参照日: 2026-07-02)
- NHLBI「Pulmonary Embolism」(参照日: 2026-07-02)
- NHLBI「Pulmonary Hypertension Diagnosis」(参照日: 2026-07-02)
医療情報に関する注意
このページは一般的な健康情報を提供するもので、診断、治療、服薬指示、受診不要の判断を代替するものではありません。息切れ、胸痛、失神、血痰、片脚の腫れや痛みがある場合や、結果表で再検査・精密検査を案内された場合は、医療機関へ相談してください。