γ-GTPは何を調べる検査?
γ-GTP(γ-GT・GGT)は、主に肝臓に多い酵素です。肝臓や胆道の異常、飲酒、薬などで血液中の値が上がることがあります。胆道は、肝臓でつくられる胆汁が流れる通り道です。
この値だけでは原因や肝臓の働き全体はわかりません。他の採血項目や腹部超音波、症状・病歴と合わせて確認します。低い値についても、他の結果や症状を含めた結果表の指示に従ってください。
51・101は何の目安?人間ドックの判定との違い
厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」では、γ-GTは51 U/L以上が保健指導判定値、101 U/L以上が受診勧奨判定値です。日本人間ドック・予防医療学会の2026年度判定区分では、51〜100の範囲をさらに分けています。
基準範囲や判定は、検査法・健診機関、年齢、性別、既往歴、治療状況などで異なります。結果表に載っている基準と指示を優先してください。
| γ-GTP(U/L) | 厚労省の目安 | 人間ドック学会2026年度の区分 |
|---|---|---|
| 50以下 | 上記の保健指導判定値未満 | A:異常なし |
| 51〜80 | 保健指導判定値以上 | B:軽度異常 |
| 81〜100 | 保健指導判定値以上 | C:要再検査・生活改善 |
| 101以上 | 受診勧奨判定値以上 | D:要精密検査・治療 |
たとえば60 U/Lは学会表ではB、90 U/LはC、120 U/LはDです。90なら結果表の再検査時期を確認し、120なら結果表を持って受診してください。Cの欄に時期が書かれていなければ、健診機関へ問い合わせましょう。
Dは「すでに治療が必要な病気と確定した」という意味ではありません。精密検査の内容や治療の必要性は受診先が判断します。治療中はEとなるなど、病歴によって区分が変わることもあります。50以下でも症状や他の検査の異常があれば、その結果や症状に沿って医療機関へ相談してください。
お酒を飲まないのに高いとき、何を確認する?
飲酒しない場合も、脂肪肝、肝炎、胆汁の流れの問題、薬やサプリメントなどが確認対象になります。飲酒しないことを伝えたうえで、次の結果や情報を持参してください。
| 一緒に確認する結果 | 医療機関で確認すること | 用意すると役立つ情報 |
|---|---|---|
| AST・ALTも高い | 脂肪肝、ウイルス性肝炎、薬などによる肝細胞への影響 | 過去の値、肝炎検査歴、体重の変化、服用中の製品 |
| ALPも高い | 肝臓・胆道の状態、胆汁の流れ。必要に応じて腹部超音波など | 右上腹部痛や発熱、超音波で指摘された胆石・胆道の所見 |
| ビリルビンが高い、白目や皮膚が黄色い | 肝臓・胆道の異常など。症状があれば再検査予定を待たず相談 | 黄ばみに気付いた時期、尿や便の色、腹痛・発熱 |
| γ-GTPだけが高い | 薬・サプリメント、飲酒の有無、経過など。単独の高値でも原因は確定できない | 新しく始めた薬・漢方・健康食品、使用量と開始時期 |
逆に、ALPが高くγ-GTPが高くない場合は、骨など肝胆道系以外の原因も検討します。体重・腹囲、中性脂肪、血糖、HbA1cや、超音波での脂肪肝の所見も、原因を考える材料になります。組み合わせだけで病名を決めることはできません。
飲酒量は「何本」から容量・度数・日数へ
「缶を1本」でも、容量と度数が違えば摂るアルコール量は変わります。容器の表示を見て、純アルコール量(g)=飲んだ量(mL)×度数÷100×0.8で計算できます。
| 飲んだ量と度数 | 計算 | 純アルコール量 |
|---|---|---|
| 500 mL・5%を1本 | 500×0.05×0.8 | 20 g |
| 350 mL・9%を1本 | 350×0.09×0.8 | 25.2 g |
| 350 mL・9%を2本 | 25.2×2 | 50.4 g |
容量が小さい350 mLの缶でも、9%なら500 mL・5%よりアルコール量は多くなります。「350 mL・9%を2本、週5日。飲まない日が2日」のように、飲む日の量と日数の両方を伝えてください。飲酒しない場合は、そのことも伝えます。
20 gなどの計算結果は、安全に飲める量やγ-GTPが下がる量を示すものではありません。飲酒の影響は体質や病気、服薬などで異なります。肝臓の病気や服薬がある人は、飲酒の可否を医師へ確認してください。飲酒しない人が飲み始める必要はありません。
長く大量に飲み続けている人や、飲酒を減らすと手の震え・発汗・不眠などが出る人は、減酒・断酒の進め方を医療機関へ相談してください。急な中断で離脱症状が起こることがあります。けいれん、幻覚、強い混乱があれば救急受診してください。
再検査の予約時に確認すること
結果表を見ながら健診機関、かかりつけ医、内科・消化器内科へ連絡し、判定とγ-GTPの値、他の肝機能の結果、症状を伝えます。次の3点を確認してください。
- いつ、何を調べるか: 再採血だけか、肝炎ウイルス検査や腹部超音波なども必要か、期限と予約先を確認します。
- 飲食・飲酒・喫煙の条件: 食事の影響もあるため、食事を終える時刻、水分、検査前の飲酒や喫煙について案内を確認します。複数の検査を受ける場合、準備が異なることがあります。
- 薬・サプリメント: お薬手帳と製品名を伝え、当日の服用や検査までの継続について確認します。処方薬を自己判断で中止しないでください。
「何日お酒を控えれば正常になる」とは決められません。原因や過去の推移によって再検査の時期は変わります。食事や飲酒などが指定条件と違った場合は、採血時に伝えてください。再検査・精密検査の予約と持参物も確認できます。
結果表と一緒に持参する情報
- 今回と過去の結果: γ-GTPだけでなくAST・ALT・ALP・ビリルビンを含む結果表、腹部超音波の報告書、肝炎検査を受けた時期。
- 飲酒の記録: 酒の容量・度数・本数、週に飲む日数、最近量を変えた時期。ラベルの写真や純アルコール量の表示も役立ちます。
- 薬・漢方・市販品: お薬手帳、サプリメント・健康食品の名前や写真、使い始めた日、量の変更。薬以外と思っている製品も含めて伝えます。
- 体重と症状: 最近の体重変化、腹痛・発熱・黄疸・かゆみ・だるさの有無と開始時期。尿・便の色が変わった場合はその経過。
たとえば「昨年45、今年90 U/L。飲酒はしていませんが、春から漢方薬を使い始めました。ALPは基準範囲内です」のように、値の変化と生活・服薬の変化を一緒に伝えると確認できます。この経過だけで漢方薬が原因とは決まりません。
黄疸、発熱や悪寒を伴う右上腹部痛、長く続く強い腹痛、繰り返す嘔吐がある場合は、結果表の数値にかかわらず速やかに相談してください。濃い尿や白っぽい便もあれば伝え、予約済みの再検査まで待たないでください。
関連する病気
次の病気や状態と関連することがあります。ただし、検査値だけで診断はできません。
関連する検査項目
よくある質問
飲酒していないのにγ-GTPが高い場合も、受診しますか?
再検査・精密検査の指示があれば従ってください。γ-GTPは飲酒だけを示す検査ではなく、脂肪肝、肝炎、胆道の異常、薬なども確認対象になります。「飲酒しない」ことと、服薬・サプリメント、他の検査結果を伝えて相談できます。
お酒を控えて値が下がれば、再検査や原因の確認は不要ですか?
下がったことだけでは、必要な確認が終わったとは判断できません。飲酒量を変えた時期、過去と今回の値、他の検査と症状を医師へ伝え、次の検査や経過確認が必要か相談してください。予約や処方薬の変更を自己判断で行わないでください。
飲酒量を具体的に確認したい方へ
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、容量と度数から純アルコール量を計算する方法や、容器・メーカーの表示を使う方法を確認できます。
e-ヘルスネット「飲酒量の単位」を読む関連記事
参考・出典
- 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」(参照日: 2026-10-13)
- 厚生労働省「健診検査項目の判定値・肝機能検査のフィードバック文例集」(参照日: 2026-10-13)
- 日本人間ドック・予防医療学会「2026年度判定区分表」(参照日: 2026-10-13)
- 日本臨床検査専門医会「肝臓の検査」(2026年8月発行)(参照日: 2026-10-13)
- 日本臨床検査専門医会「γ-GT(γ-GTP)の検査について」(2013年12月発行)(参照日: 2026-10-13)
- MedlinePlus「Gamma-glutamyl Transferase (GGT) Test」(参照日: 2026-10-13)
- 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年)(参照日: 2026-10-13)
- e-ヘルスネット「飲酒量の単位」(参照日: 2026-10-13)
- MedlinePlus「How to Prepare for a Lab Test」(参照日: 2026-10-13)
- MedlinePlus「Alcohol withdrawal」(参照日: 2026-10-13)
- NIDDK「Symptoms & Causes of Gallstones」(参照日: 2026-10-13)
医療情報に関する注意
γ-GTPの解釈と必要な検査は、症状、既往歴、服薬、飲酒、他の検査結果によって異なります。結果表の指示と医師の説明を確認し、薬の中止・変更は処方医へ相談してください。