血糖値とHbA1cは、何が違う?
血糖値(GLU・FPG・FBSなど)は採血した時点の血液中のブドウ糖の濃さです。食事、運動、体調、ストレス、薬などで変動します。HbA1cは過去1〜2か月程度の血糖のあらましを反映するため、採血時だけではわからない経過を考える材料になります。
血糖値が高くHbA1cがそれほど高くない場合も、片方の結果だけで異常を打ち消すことはできません。食事・体調の影響のほか、急な血糖の変化や、貧血・腎臓の病気などでHbA1cの解釈が変わることもあるため、両方の結果を医師へ見せてください。
「朝食抜き」だけでなく、食事から何時間かを確認
夜食や糖分のある飲み物を取っていると、朝食を抜いても空腹時の条件を満たさない場合があります。特定健診では、次のように扱います。
| 採血の条件 | 特定健診での扱い | 結果を見るときの確認 |
|---|---|---|
| 絶食10時間以上 | 空腹時血糖 | 最後の食事・糖分のある飲み物と採血の時刻を確認します。 |
| 食事開始から3.5時間以上、絶食10時間未満 | やむを得ず空腹時以外に採血し、HbA1cを測定しない場合、随時血糖での検査が可能 | この条件での保健指導判定値は100、受診勧奨判定値は126 mg/dL以上です。診断の基準とは異なります。 |
| 食事開始から3.5時間未満 | 特定健診の上記の随時血糖の扱いから除外されます | 食後時間を伝え、空腹時での再検査やHbA1cの確認が必要か相談してください。 |
出典: 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」。診療で使う「随時血糖」は食事時刻にかかわらず測る血糖を指し、特定健診で採用できる条件とは区別します。検査の準備は受診施設の案内に従ってください。
前夜21時に食事を終え、夜食・糖分のある飲み物を取らず翌朝9時に採血するなら、間隔は12時間です。一方、朝7時に朝食を始めて9時に採血した場合は食後2時間です。後者の値に、空腹時血糖の126 mg/dLという基準をそのまま当てはめないでください。
食後だったことだけを理由に高い値を無視せず、食べた内容と時刻をそのまま健診機関へ伝えます。飲食してしまった場合の連絡方法は、健診前に食べた・飲んだときの対応も確認できます。
空腹時血糖100・110・126 mg/dLの違い
下の目安は空腹時に採血した血糖値です。結果表の採血条件、基準範囲、再検査・受診の指示を優先してください。妊娠中や糖尿病の治療中は、産科・主治医へ個別に確認します。
| 空腹時血糖(mg/dL) | 意味の目安 | 次に確認すること |
|---|---|---|
| 100〜109 | 日本糖尿病学会では正常域の中の「正常高値」。特定健診の保健指導判定値以上です。 | HbA1c、過去の値、体重、家族歴、血圧・脂質などを確認し、追加検査の必要性を相談します。 |
| 110〜125 | 糖尿病型の空腹時基準未満でも、糖代謝の詳しい確認が必要な範囲です。 | 医療機関でHbA1cや75g経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)などの要否を相談します。 |
| 126以上 | 特定健診の受診勧奨判定値以上で、糖尿病の診断に使う「糖尿病型」の血糖基準の一つです。 | 先延ばしにせず結果表を持って受診します。HbA1c、症状、再検査などで医師が診断します。 |
110〜125 mg/dLだけで「境界型」と確定するわけではありません。正常型・境界型・糖尿病型の判定には、空腹時血糖と75g OGTTの2時間値などを使います。100〜109 mg/dLでも、追加検査で異常が見つかる人が含まれます。
食事や飲み物、運動、体重、睡眠などの変化は医師へ伝える材料になります。検査直前だけ極端に食事を減らしたり、薬を調整したりせず、再検査までの過ごし方を相談してください。
血糖値が同じ130でも、HbA1cによって判定が違う?
日本人間ドック・予防医療学会の2026年度判定区分は、空腹時血糖とHbA1cを同時に測ることを前提にしています。たとえば、次の組み合わせでは区分が異なります。
| 空腹時血糖 | HbA1c(NGSP) | 2026年度の学会区分 |
|---|---|---|
| 130 mg/dL | 6.0% | C:要再検査・生活改善 |
| 130 mg/dL | 6.6% | D:要精密検査・治療 |
Cでも、130 mg/dLは厚生労働省の受診勧奨判定値以上です。区分名だけで受診を先延ばしにせず、結果表に指定された確認・再検査の時期を確かめてください。時期の記載がなければ健診機関へ問い合わせます。Dの精密検査や治療の必要性は受診先が判断し、治療中はEとなるなど、病歴によって区分が変わることもあります。
糖尿病の診断に使う糖尿病型の血糖基準は、空腹時126 mg/dL以上、随時200 mg/dL以上、75g OGTTの2時間値200 mg/dL以上です。特定健診の随時血糖の受診勧奨値126 mg/dLは、この随時200 mg/dLという診断の基準と目的が違います。
通常は別の日の検査で確認しますが、同じ採血で血糖値とHbA1cがともに糖尿病型の場合や、糖尿病型の血糖値に典型的な症状などがある場合は、1回の検査で診断されることもあります。HbA1cだけを繰り返し測って診断することはできません。
再検査を予約するときに確認すること
- 今回の採血条件を伝える: 結果の値とHbA1c、最後の食事・飲み物・採血の時刻を伝え、受診日と空腹時採血の要否を確認します。相談先に迷う場合は、かかりつけ医、内科、糖尿病内科へ問い合わせてください。
- 飲食と検査内容を確認する: 食事を終える時刻、飲める水分、HbA1cやOGTTなど追加検査の予定を確認します。ほかの検査と同時に受ける場合は、準備が異なることがあります。
- 糖尿病薬・インスリンの扱いを確認する: 食事を抜くときの低血糖の危険があるため、当日の薬・注射と食事の指示をあらかじめ受けてください。ステロイドなどほかの処方薬も含め、自己判断で中止・増減しないでください。
指示された飲食条件と違った場合は、採血前に申し出てください。再検査・精密検査の予約と持参物も確認できます。
結果表と一緒に持参・申告する情報
- 今回と過去の結果: 血糖値、HbA1c、尿糖、体重・血圧・脂質などを含む結果表。過去にOGTTを受けた場合はその報告書。
- 採血条件: 最後に食べた時刻、夜食や加糖飲料の内容・時刻、採血時刻。水以外に何を飲んだかも伝えます。
- 薬と体調: お薬手帳、市販薬・サプリメント、インスリン等の使用、発熱や感染症、妊娠、貧血や腎臓の治療歴。
- 体重と症状: 最近の体重変化、のどの渇き、尿の回数や量、冷や汗・ふるえなどの有無と起きた時刻。
「前夜21時に夕食を終え、翌9時に採血。血糖値112 mg/dL、HbA1c5.8%。昨年の血糖値は98でした」のように、条件と経過を伝えます。家族の糖尿病歴や生活の変化も、検査を選ぶ材料になります。
血糖値が低い場合と、予定を待たず相談したい症状
低い血糖値は糖尿病薬やインスリン、食事・飲酒・運動、肝臓や腎臓などの状態と関係することがあります。低値を指摘された場合は、症状がなくても結果表の指示を確認し、服薬・食事・採血条件を医師へ伝えてください。
冷や汗、ふるえ、動悸、強い空腹感、ぼんやりするなどの症状がある場合は、その時点で対応が必要になることがあります。糖尿病治療中は、事前に指示された低血糖への対処を行い、医療機関へ連絡してください。意識がおかしい、けいれんする、飲み込めない場合は119番で救急要請し、口から飲食物を無理に与えないでください。
一方、強い口渇、多尿、意図しない体重減少などがある場合も、健診の次の予約まで待たず相談してください。過去の血糖値やHbA1cだけで現在の症状を判断しないでください。
関連する病気
次の病気や状態と関連することがあります。ただし、検査値だけで診断はできません。
関連する検査項目
よくある質問
朝食後2時間の血糖値は、75g OGTTの2時間値と同じですか?
同じ検査ではありません。通常の朝食は量や内容が異なり、OGTTは決められた量のブドウ糖を飲んで調べます。朝食後の値をOGTTの基準で自己判定せず、何をいつ食べたかを伝えてください。
家庭の血糖測定器やCGMで高い値が出たら、糖尿病と診断できますか?
それだけでは診断できません。日本糖尿病学会は診断に静脈血漿の血糖値を用い、簡易血糖測定器やCGMの値は診断には用いないとしています。測定日時、食事、症状の記録を持って医療機関へ相談してください。すでに治療中なら主治医の指示に従います。
血糖・HbA1c・OGTTの検査内容を知りたい方へ
国立健康危機管理研究機構の糖尿病情報センターでは、血糖の採血、HbA1c、尿糖、75g OGTTなどが何を調べる検査かを確認できます。
糖尿病情報センター「糖尿病と関連する検査」を読む関連記事
参考・出典
- 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」(参照日: 2026-10-16)
- 厚生労働省「判定値・血糖高値のフィードバック文例集」(別紙5、冊子139・169頁)(参照日: 2026-10-16)
- 日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」第1章(参照日: 2026-10-16)
- 日本人間ドック・予防医療学会「2026年度判定区分表」(2026年4月1日改定)(参照日: 2026-10-16)
- 国立健康危機管理研究機構 糖尿病情報センター「糖尿病と関連する検査」(参照日: 2026-10-16)
- MedlinePlus「Blood Glucose Test」(参照日: 2026-10-16)
- NIDDK「Diabetes Tests & Diagnosis」(参照日: 2026-10-16)
- NIDDK「Low Blood Glucose (Hypoglycemia)」(参照日: 2026-10-16)
- MedlinePlus「Unconsciousness - first aid」(参照日: 2026-10-16)
医療情報に関する注意
血糖値の解釈や必要な検査は、採血条件、妊娠、症状、治療状況などで異なります。結果表の指示と医師の説明を確認し、薬やインスリンの変更は主治医へ相談してください。