ALPは肝臓だけの検査ではない

ALP(アルカリホスファターゼ)は体内のさまざまな組織にある酵素で、肝臓・胆道や骨に多く、小腸や胎盤にも由来します。胆道は、肝臓でつくられる胆汁が流れる通り道です。

通常のALP検査だけでは、どの組織に由来するALPが増えたのかはわかりません。ほかの採血項目、症状、必要に応じた画像検査やALPアイソザイム検査で確認します。アイソザイム検査は、ALPの種類を分けて由来を調べる検査です。

IFCC法の基準値は38〜113 U/L。130はどう読む?

国内では2020年4月から、旧JSCC法からIFCC法への切り替えが順次始まりました。検査項目名の末尾の「IFCC」「IF」は、測定法を見分ける手がかりです。表記がない場合は、健診機関へ問い合わせてください。

結果表の測定法公表されている基準範囲(U/L)同じ130 U/Lの場合
IFCC法38〜113この範囲を採用した結果表では上限113を超えます。
旧JSCC法106〜322この範囲を採用した過去の結果表では範囲内です。

出典: 日本臨床化学会。IFCC法38〜113 U/Lは同学会Q&Aの男女18〜65歳の共用基準範囲、旧JSCC法106〜322 U/Lは同学会補足資料の比較に使われた範囲です。施設・年齢・性別などで範囲が異なるため、手元の結果表の基準と医師の説明を優先してください。

130 U/LがIFCC法で上限を超えていても、それだけで病名や治療の必要性は決まりません。結果表の「要再検査」「要精密検査」などの指示と時期を確認してください。範囲内でも、症状やほかの検査に異常があればその指示に従います。

日本人間ドック・予防医療学会は、ALPの判定区分を作成していません。ALPの数値だけから全国共通のA・B・C・D判定や受診期限を当てはめず、健診機関の判定を確認しましょう。

以前の300が100に下がったら、改善した?

以前が旧JSCC法、今回はIFCC法なら、測定法の違いだけでも値は大きく変わります。厚生労働省の通知では、IFCC法の測定値と基準範囲は旧JSCC法のおよそ3分の1になるとされています。数値の低下だけで改善とは判断できません。

日本臨床化学会が示す「旧JSCC法の値×0.35」は、ほぼ肝型・骨型のALPに由来する検体を想定した概算です。小腸型や胎盤型が増えると、実際にIFCC法で測った値とずれます。計算で出した値を今回の測定結果として扱わず、受診先には元の結果表を見せてください。

  • 同じ測定法か: 項目名、単位、基準範囲、採血日、検査機関を新旧の結果表で確認します。
  • 体の状態に変化があったか: 妊娠、薬の変更、骨の痛みやけが、腹痛などを伝えます。
  • ほかの検査も変わったか: ALPだけでなくγ-GTP、AST・ALT、ビリルビンの結果も持参します。

ALPが高いとき、肝臓・胆道と骨をどう確認する?

ALPと一緒に確認する結果・状態原因を調べる手がかり受診時に伝えること
γ-GTPも高い肝臓・胆道からの上昇が疑われます。AST・ALT、ビリルビンなども確認します。腹痛・黄疸・発熱の有無、薬やサプリメント、飲酒、過去の肝臓・胆道の検査結果。
総ビリルビン・直接ビリルビンも高い、白目が黄色い胆汁の流れや肝臓などの確認が必要です。腹部超音波などの検査を医師が検討します。黄ばみ、濃い尿、白っぽい便、痛みや発熱に気付いた時期。症状があれば再検査日を待たず相談します。
ALPが高く、γ-GTPは基準範囲内骨など肝胆道系以外の由来も検討します。ALPアイソザイム、カルシウム、リンなどを必要に応じて確認します。骨の痛み、最近の骨折や治療歴、年齢、妊娠、服薬。γ-GTPが範囲内という理由だけで原因の確認を終えないでください。

成長期は骨の成長、妊娠中は胎盤の影響でALPが高くなることがあります。成人の共用基準範囲と単純比較せず、子どもは年齢に合う基準、妊娠中は妊娠週数や症状を含めて医師に確認してください。

ALPが低いときは、亜鉛を補えばよい?

低いALPは、栄養状態や亜鉛不足、甲状腺の病気、薬の影響などと関係することがあります。まれに、骨や歯に影響する低ホスファターゼ症なども確認対象になります。ALPだけで亜鉛不足と決めてサプリメントを始めず、過去の値、食事や体重の変化、症状、服薬を医師へ伝えてください。

繰り返し低い場合や、骨の痛み・骨折などがある場合は、その経過も相談します。薬を使っている人は自己判断で中止せず、処方医に確認してください。

再検査前に予約先へ確認する3点

  1. 受診時期と診療科: 結果表の判定・期限、ALPの値と測定法、ほかの異常項目を伝えます。相談先が不明なら健診機関やかかりつけ医へ問い合わせてください。
  2. 検査内容と飲食条件: 再採血だけか、超音波などもあるかを確認します。脂肪の多い食事がALPに影響することもあり、併用する検査でも準備が変わるため、食事を終える時刻や水分の指示を受けてください。
  3. 当日の薬: お薬手帳、市販薬・漢方・サプリメントの名前を伝え、服用の扱いを確認します。自己判断で休薬しないでください。

飲食や服薬が指定と違った場合は、採血前に伝えてください。再検査・精密検査の予約と持参物も確認できます。

結果表と一緒に持参する情報

  • 新旧の結果表: 採血日、測定法、単位、基準範囲と判定が見える用紙。γ-GTP・AST・ALT・ビリルビンも含めます。
  • 薬と体の変化: お薬手帳と市販品の名称、開始・変更時期、妊娠の有無と週数、最近の骨折や骨の治療歴。
  • 症状の経過: 腹痛、発熱、黄ばみ、尿・便の色、かゆみ、骨の痛みがいつからあるか。

たとえば「今回はALP(IFCC)130 U/L、基準範囲は38〜113。以前はALP(JSCC)300 U/Lでした」と、測定法と範囲まで伝えます。過去に腹部超音波や骨の検査を受けていれば、その報告書も持参してください。

黄疸、発熱や悪寒を伴う右上腹部痛、長く続く強い腹痛、繰り返す嘔吐がある場合は、ALPの値にかかわらず速やかに医療機関へ相談してください。胆道の閉塞や感染などの可能性もあり、予定の再検査まで待たないでください。

関連する病気

関連する検査項目

よくある質問

B型・O型なら、ALPが高くても気にしなくてよいですか?

血液型だけで判断できません。旧JSCC法ではB型・O型の一部の人で小腸型ALPの影響を受けやすいことが知られていますが、高値の原因がそれとは限りません。測定法を確かめ、結果表の再検査・受診の指示に従ってください。

妊娠中に113 U/Lを超えたら異常ですか?

成人の共用基準範囲だけでは判断できません。妊娠では胎盤由来のALPが増え、妊娠週数や測定法によって解釈が変わります。結果表を産科の担当医へ見せてください。腹痛・発熱・黄疸などがあれば、次の健診日を待たず相談してください。

ALP検査と体の状態の関係をもっと知りたい方へ

米国国立医学図書館のMedlinePlusでは、ALPが高い・低い場合に確認すること、妊娠や成長期、食事・薬の影響を確認できます(英語)。

MedlinePlus「ALP検査」を読む

参考・出典

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医療情報に関する注意

ALPの解釈と必要な検査は、測定法、年齢、妊娠、症状、既往歴、服薬やほかの検査結果で異なります。結果表の指示を確認し、受診時に医師へ相談してください。